冬のノロウイルスとともに、夏も食中毒には要注意の季節です。

細菌性食中毒にはいろいろな原因があります。
そして、大きく分けると毒素型と感染型に分けることができます。

毒素型のものとしては、その原因菌としてボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌、セレウス菌の嘔吐型があります。

●ボツリヌス菌
ボツリヌス菌の場合は潜伏期間が1~3日あります。原因食品としては、ソーセージ・はちみつ・いずし・缶詰などがあります。
発熱はなく、便は水溶便で、眼症状に続いて嚥下障害や四肢の麻痺などが起こり、呼吸筋麻痺を起こして脂肪する場合もあります。治療としては呼吸管理や抗毒素血清などがあります。芽胞は耐熱性ですが、加熱による予防は有効です。
●黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌の場合は潜伏期間は1~6時間と比較的短くなっています。原因食品としては、かまぼこ・にぎりめし・弁当などで、耐熱性のエンテロトキシンが原因となっていて、発熱はなく水様便。激しい悪心・嘔吐、下痢・腹痛があります。治療としては水分補給のため輸液を行うことになります。また耐熱性毒素なので食前に加熱しても意味がありません。

●セレウス菌(嘔吐型)
セレウス菌(嘔吐型)の場合の潜伏時間は1~6時間と短く、原因食品は、焼き飯・ピラフ。嘔吐毒で、悪心・嘔吐の症状が出て来て、下痢・腹痛がみられることもあります。発熱なしで水様便、発熱はなく水様性の便、耐熱性毒素なので食前の予防は無効です。

感染型には、セレウス菌(下痢型)、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、病原性大腸菌、サルモネラ属菌、細菌性赤痢、カンピロバクター、腸チフス、パラチフスがあります。

感染型は、細菌自体が増殖して初めて発症するために発症までの潜伏期間が長くなっています。また増殖した細菌と免疫の好中球等が戦うために発熱するケースが多くなります。
一方、毒素型はボツリヌス菌を除いては潜伏期間が短くなっています。これはすでに産生してある毒素を摂取するためと考えられます。
毒素型のものにはすでに毒素を産生し終わっているものなので、抗生物質は無効です。

食前の加熱が有効でないものとして、黄色ブドウ球菌(エンテロトキシン)とフグ毒(テトロドトキシン)等があげられます。ウェルシュ菌、セレウス菌(下痢型)、ボツリヌス菌は、毒素は易熱性で加熱により不活化されますが、耐熱性の芽胞によって細菌が生き残るため、時間が経過するとともに再び毒素があらわれてきます。これらは食前の加熱が有効です。

フグ毒も耐熱性毒素で、毒キノコとともに、食前の加熱処理は無効です。

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