幼い子供が本一冊を覚えられると言うと、えええウソでしょ。と思う人が多いのではないかと思います。

●エピソード記憶とは
記憶にはいろいろな種類があります。記憶術の本を読むと、ときどき「エピソード記憶」という言葉がでてきたりします。覚える内容のことをストーリー化して覚えるもので、ストーリー化することによって、意味をもつようになるので、全く無味乾燥なアルファベットや数字の並びを覚えるよりも覚えやすくなります。またストーリー化することによって、前後の流れから思い出すきっかけを得ることができるようにもなります。

●意味記憶とエピソード記憶
そんなエピソード記憶ですが、似たようなものに「意味記憶」とうものがあります。それでは「エピソード記憶」と「意味記憶」はどうのように違うものかというと、次の例を使って説明します。

今、あなたは学校なり会社に通学または通勤しているとしましょう。話をわかりやすくするために、ここではあなたが学生さんだとして、通学しているということを前提に話を進めていきます。

あなたは学校へ行くたびに、家を出て学校につきます。その間は「通学」ということになります。そして昨日の通学と今日の通学では、時間が違うので全く違う経験をすることになります。この通学の間に起きた出来事、それがつまりエピソードであり、エピソード記憶になります。しかし、一昨日と昨日、昨日と今日、今日と明日はまったく判で押したように同じではありません。それぞれの日に、通学途中で起きる出来事は違ってきます。つまり「エピソード記憶」は繰り返すことができないということになります。

しかし、よっぽどの新しもの好きか、チャレンジ精神旺盛な人でもないかぎり、通学するのに毎日365日、その経路を変えるという人はまずいないでしょう。多少の例外はあるにしろ、ほとんどの人は特に途中に用事でもない限り、毎日同じ通学ルートを使って通学するでしょう。会社員の通勤も同じことです。つまり通学路の傾向といったものは毎日同じ道を通ることになるので繰り返されます。このように意味をもっていて繰り返すことができるものが「意味記憶」と呼ばれるものです。

通学途中で日々あった細かな出来事は忘れてしまっていても、通学ルートは学校を卒業して何年経っても、覚えているものです。

よく雪山をスキーですべるとシュプール(スキー板の2本の溝)ができ、何人もの人が、何回もすべっていくと、そのシュプールは深く刻まれ、そのルートで滑りやすくなってきます。

参考書やテキスト、あるいは物語を読むときも同じです。本をめくって読むという行為自体は経験で、これを何回も繰り返すことで、「読んだ記憶」という個々のエピソードが強化されていき、「意味記憶」にまで昇華され、記憶に深く刻まれていくことになります。

したがって小さい子供が、一冊の本の集中して毎日毎日読むということをやっていると、そのまま覚えてしまうということは十分考えられることです。


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