これだけアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が多いとなると、はっきりいって、これはもう自動車という製造物自体の欠陥といってもいいかもしれません。

これを、高齢者のミスや不注意だけのせいにしてしまってよいものなのでしょうか。


自動車は、一歩間違えると、大きな人身事故につながってしまうため、他の製造物よりも、設計の上でより慎重さと安全性が求められます。




高齢者も悪いが、自動車メーカーも考えるべき



もちろん高齢者も悪いが、これだけ事故が多く起きているということは、やはりなにかしら現在の自動車という設計物に、少なくとも高齢者も使用するということを考慮した安全面を含めた設計上の問題点があり、ここから根本的に考える必要があるのではないだろうか。





マニュアル車(MT車)からオートマ車(AT車)になったから事故が増えた?



昔はマニュアル車(以下、MT車)が主流だったのであるが、最近では自動車のほとんどがオートマ車(以下、AT車)になっていて、タクシーやパトカーまでAT車の割合が増大しています。

AT車は、とにかく言っちゃ悪いが遊園地にある子供用のゴーカードと同じくらい簡単。


面倒な変速ギア操作や半クラッチ操作がなく、交差点のど真ん中でエンストなんていう心配からも解消されます。


つまり、ハンドルさばきに集中できるので、運転に集中できると言われ、MT車では難関となる坂道発進も楽になり、一時停止や渋滞道路も苦にならないという利点があります。



最近、高齢者の自動車の運転ミスによる交通事故がよく報道されています。

東京に住んでいると、「80歳、90歳になった年寄りは乗るなよ! 運転ミスによってこれから未来ある若い命が奪われていくのは見るに耐えない!」と思ってしまうのですが、地方に住んでいる人からみると、自動車は生活必需品とでも言えるでしょう。東京にいれば、山手線の中であれば30分も歩けば、たいていはどこかのJRか地下鉄の駅に出るでしょうし、23区及びそれに近い多摩地区などでは、やはり30分もあるけば駅はなくても、何らかのバス停にはたどりつき、15分に1本ぐらいはバスが来る。


ところが、地方にいくとそういうわけにはいかない。ちょっとコンビニに行ってくるよといっても、自動車に乗って15分とか20分というところもめずらしくない。


そんなところに住んでいて、自動車が重要な生活の足となっている人から、悪戯に免許を取り上げるというのも間違っているのでしょう。



高齢者の免許更新の基準を厳しくするというのは大賛成ですが、高齢者側だけにすべての問題点を押しつけるというのも問題があるような気がします。

よく事故を起こした高齢者の話を聞いていると、アクセルとブレーキの踏み間違いというのが結構多いような気がする。

MT車だったら、左足でクラッチを踏みながらアクセルを踏まないと動かないので、少なくともブレーキとアクセルを踏み間違えての急発進はなく、実際に事故を起こしているのはほとんどがAT車であります。しかし、それじゃAT車が悪いとも早急には言えないのです。



なぜならば、大型車を除けば、現在走っている自動車のほとんどがAT車だから、AT車の事故率が高いのも当たり前だからであります。

AT車になったことで、ゆるい坂道駐車での無人暴走や、クラッチとブレーキを同時に踏んでの空走距離延長、変速操作ミスによる急ブレーキといった事故は防げているという側面もある。



実施、私も自動車免許取り立てのころ、ブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏んでしまっていて、危うく前を走っていたトラックにぶつかりそうになったことが1回あります。

そのころは、若かったこともあり、「あっ、いけねぇ!」という具合に反射的に反応して、すぐにブレーキペダルを踏んだんで大事には至りませんでしたが、若くてもそういうことがあり得るならば、体力的に反応がにぶくなってきている高齢者に同じようなミスが起こっても不思議ではないような気がします。



 



ペダルの見張り番は役に立つのか



今、大変人気で売り切れ続出となっているのが、オートバックスの『ペダルの見張り番』という商品です。


この商品は、OAC(オーバーアクセルキャンセラー)という技術と、BOS(ブレーキオーバーライドシステム)という技術を組み合わせたもので、ブレーキペダルを踏もうとして、間違ってアクセルペダルを踏んでしまった場合に、自動車の車速やブレーキ信号を検知して、電気的に制御して、ゆっくりとしか進まないようにするシステムで、またアクセルとブレーキが同時に踏まれた場合は、ブレーキ動作が優先されるという機能になっています。


確かに、これである程度事故は減らすことができるかもしれませんが、完璧ではありません。


なぜなら、ゆっくり前に進んでしまうので、それでもあせってパニックになった高齢者はうまく対処できない可能性があります。


また、普通に走行しているときであれば、関係ありませんのでこの機能はききません。



 



誤発進防止システムや自動ブレーキの過信も禁物



誤発進防止システムは、前方に壁や自動車がなどの障害物があると自動的に車のエンジンの出力を押さえて、警報を鳴らしドライバーにブレーキをかけるよう促す機能です。


しかし、最終的にブレーキを踏むのは人間です。


自動ブレーキ搭載の自動車は、時速50km/時までであれば、事故を回避できると言われていて、バックミラーの両脇についている2台のカメラが人間の目のように前の車や歩行者をとらえて、その距離を迅速に計算し、衝突のリスクがあると判断した場合は警報を鳴らし、それでもドライバーが反応しない場合は、自動ブレーキをかけるというものです。


実際に、自動ブレーキを搭載した車は、搭載していない車よりも6割事故が減っているというデータも出ているので、例えば、高齢者が運転する自動車については、法律で自動ブレーキを義務づけるぐらいのことをしてもいいのかもしれません。


ただし、このカメラも車の前方に主眼をおいているため、横からの飛び出し、交差点のカーブでの歩行者や自転車の急な飛び出しには対応できないケースが多いと言われています。



いずれにしろ、機械はあくまでも人間の補助であり、主体はやはり人間です。

人間のミスをカバーしたり、ミスを起こしにくくすることはできても、機械が人間のミスをゼロにするといったことはできません。


あくまでも、人間の補助として、過信は禁物ということです。







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