五木ひろしの『千曲川』の歌詞にも出てくる勿忘草(わすれなぐさ)は、5月14日の誕生花だそうです。
♪水の流れに~ 花びらを~ から始まり、サビの部分で ♪勿忘草に、帰らぬ恋を~ とありますが
勿忘草の花言葉は、「私を忘れないでください」、「真実の愛」だそうです。

ちょうど5月の中旬ごろを中心に、巻尾状の花穂に藍色の可愛らしい小花を多数つけることから、姫紫という別名もあります。ムラサキ科の多年草で、ヨーロッパ原産、水湿地に群生しますが、薬草としてはあまり用いられず主に観賞用です。

勿忘草の名前の由来ですが、、英名のフォーゲット・ミー・ノット(私を忘れないでください)が、そのまま和名になっています。

勿忘草については、ドイツに伝わる恋人同士の伝説があります。
春の夕暮れ時、ドナウ川のほとりを恋人散策していたとき、女性の方がドナウの河岸に咲く青い小さな花を見つけ、男性にその可憐に咲く紫色の花を採って欲しいと頼みこみました。男性の方は河岸に降りていきその花を手にした次の瞬間、足を滑らせドナウ川の急流に巻き込まれてしまいましたが、その時男性は、花を岸辺に投げ入れ、「私を忘れないで」と叫び、流されて見えなくなってしまいました。女性は男性の墓にその花を植えて、最期の言葉「私を忘れないで」を花の名にしたということです。
英名でも、"Forget-me-not"、中国名でも「勿忘草」と呼ばれ、日本でも勿忘草となりました。

さて、勿忘草が特別な薬用植物でもないので、同じムラサキ科の中で薬用ハーブ、薬用植物を探してみました。

同じムラサキ科の薬用植物としてすぐに連想するのが、ムラサキ(紫草) Red-root lithospermum で日本三大色素にも数えられています。
紅色の紅花(コウカ)、藍色の藍(アイ)、そして紫色の紫(ムラサキ)、三大色素いずれも植物の名前がそのまま色の名前になっているところは興味深いところです。
ムラサキは薬用としてはLithospermum erythrohizon Siehold et Zuccarini (Boraginaceae:ムラサキ科)の根が用いられ、創傷治癒を促進します。
その有用成分は紫色の色素成分でもあるシコニンとアセチルシコニンが知られていて、抗炎症作用、肉芽形成促進作用があります。

このシコンを用いた有名な漢方処方が、紫雲膏(しうんこう)で、江戸末期より使われていたようです。

ちなみに、♪痔にはボラギノール~ というCMでもお馴染みの痔の薬、「ボラギノール」ですが、シコンを主要な薬効成分として配合しています。
ムラサキ科 Boraginaceae は、読むとボラギナケアエとなりますが、「ボラギノール」の名前の由来は、このボラギナケアエからきているのだと思います。

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