最近では、チェスのみならず、将棋や大局観が必要とされ難しいといわれていた囲碁の世界でも、AI(人工知能)が人間に勝利したといったニュースがあります。

週刊誌などをみると、将来的には多くの職業で人間に代わってAIが使われるようになり、人間の仕事がAIにとって代わられてしまうといった記事が書かれたりしています。


人間に勝利したアルファ碁も、所詮は人間が作ったもの


囲碁の対局AIであるアルファ碁も、そのもととなっているデータは、人間が長年蓄積してきた棋譜に基づいていて、これら大量のデータを人間をはるかに超えた圧倒的な情報処理能力によって記憶しています。

AIはこうした一定の型が揃ったデータが大量にあるようなチェス・将棋・囲碁といったものに関しては、ある面最も能力を発揮できる領域といってもいいかもしれません。

つまり、AIがより優れた能力を発揮するには、いかに多くのデータの蓄積があるかということになります。


AIの弱点とは何か


AIは、一番最初の段階では人間でいうと赤ちゃん同然
のものです。つまりそのままだと何もできないということです。

これに人間がいろいろと手をかけて、データを入力したり、手間暇かけて教えてあげるようにすることで、だんだんと使えるようになっていきます。そしてAIを優れた機能をもつものまでに成長させていくのは、人間の役割です。

有名な話しでは、アメリカのマイクロソフト者が開発し、実験中だったAI「Tay(テイ)」が、ツイッター上でヒトラーを肯定したり、人種差別的な言葉を発したりし始めたことから、実験が中止されたというニュースを聞いたかたもいるかと思います。つまり、いかに教育していくかという教育係しだいだということになります。


AIと翻訳ソフト


翻訳ソフトも、いろいろな翻訳例を大量にインプットし、英文解釈のルールなどをしっかりと入れ込むことによって、より精度の高いものになっていきます。

この単語はどういった言葉と関連性が高い言葉で、どういった品詞の言葉なのだろうかといったことを大量にインプットすることで、かなり質の高い翻訳ソフトができることと思います。しかし、言葉というのは生き物で、同じ内容のことをしゃべったとしても、10人いたら10人別々の言い回しや表現を使う場合がほとんどでしょう。

同じことを言うにも、複数の短い文章で表現する人もいれば、長い文章で話す人もいます。

さらに、同じ単語でも複数の意味をもっていたり、周りとの言葉関係を分析して同じ言葉であっても、そのニュアンスを伝えるというところは、やはり教育するのが難しいのでしょう。

「あなたなんて、大嫌い」という表現も、もちろん文字どおりの意味のときもありますが、本当は好きなんだけどちょっとすねているといった場合もあるでしょう。

こういったことの判断は、AIにはなかなか難しいですし、だからこそ翻訳ソフトは昔に比べてかなり品質が高くなりましたが、翻訳家や同時通訳が不要になるほど、高精度をもったものはなく、一般に市販されている翻訳ソフトに至っては、業務で大量の英文を訳したい時、参考や下訳に使われるといった程度の実用になっているというのは、翻訳など言語を取り扱う部分でのAIの開発・育成の難しさを表しているのかもしれません。


コールセンターにAIは使える


オックスフォード大学では、AIが世の中に出てくることにより、あと10年で消える職業、なくなる仕事なんていうのを発表して話題を呼んでいます。

今や自動車の自動運転なんていう技術も発展して、極端な話しをすれば、無人で走る自動運転の自動車ができ、タクシーやトラックの運転手は職がなくなるということも考えられます。もちろん近い将来、安全性が重要な自動車運転において、完全な無人化ということは考えられませんが、AIに取って代わられる仕事が増え、仕事がほぼ半減するとまで言われています。

弁護士や警察までAIにとって代わられる
というからすごい話しです。

医者でも、IBMのAI型コンピューターを活用し、60万件の医療報告書や150万件の患者記録・臨床試験、200万ページの医学雑誌などを分析して、コンピューターが患者個人個人の症状や遺伝子、約歴を分析したり比較することにより、状態に合った最良の治療計画を作るといったことも成功しています。


そんな中、AIをコールセンターで導入したらすごい効果があるのではないかという考え方があります。

現在でもメーカーに電話すると要件をプッシュボタンの番号で選択させて、定期的な質問であればそのまま該当する回答が自動音声で流れるといったものがありますが、ちょっと内容が複雑になると人間のオペレーターなどに対応が代わります。


しかし、こうしたものをより精度をあげ、データーを蓄積していけば、コールセンターの対応の多くがAIに任せられる時代もくるかもしれません。

コールセンターにかかってくるクレームの電話によって、コールセンターに働く人たちのストレスも軽減することでしょう。クレマーもAI相手に怒っても仕方ないわけで、話しているうちに冷静さを取り戻すという場合もあるでしょう。

もちろん、利用者側からすれば、メーカーの責任でクレームをつけるような事象が起こり、その対応が機械的な対応であり、なかなか人間がでてこないというのであれば、それは非常識すぎるとして、逆にクレームになるというリスクもあります。




いずれにしろ、どんな優秀なAIでも、それを開発したり教育したりするのは人間だということです。

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