不快でどうにかしたいけどなかなか止まらないのが痒みです。
虫に刺されて痒く、「掻いちゃいけません!」と言われながらも、ついつい掻き壊してしまったという経験を持った方も少なくないと思います。

なぜ痒くなるのか


痒くなってしまう原因は、ヒスタミンという物質が原因です。

アレルギーや炎症が起こると、体の中でこのヒスタミンが多く分泌されて、それにより痒くなります。

ヒスタミンというと花粉症のようなアレルギーを引き起こしたり、皮膚を痒くしたりということで、ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬という成分の薬が、鼻炎薬や湿疹・かゆみを止める皮膚病薬の中にも配合されています。

アレルギーが起きた時に、症状が出てくる原因になったり、体を痒くしたりと、ヒスタミンにあまり良いイメージを持っていない人もいますが、睡眠と覚醒のリズムに必要であったり、身体に入ってきた異物を排除する働きももっていて、人体には欠かせない成分でもあります。

さらにヒスタミンは記憶力や学習力の増強との関与もいろいろ研究されています。

蜂に刺されるとその瞬間痛いのに、なぜ蚊にさされてもすぐに痒くならないのか


これは、蚊は蜂に比べて小さく弱い虫なので、すぐにかゆくなると見つかって叩かれてしまうからという答えもあるかもしれません。

人間の身体のしくみを考えると、かゆみの感覚を脳に伝達している神経はC線維と呼ばれるもので、これは痛みを伝える線維よりも格段にスピードが遅いことで知られています。なのでかゆみに対する伝達が遅くなり、蚊にさされてしばらくたってからじわりじわりと痒くなってくるのです。

痒いとき掻くと気持ち良くなる理由


痒くなるのは人間に限ったことではなく、猿も犬も猫も鳥も、魚ですら痒みを感じると言われています。

そして痒みを抑えるために、手で掻いたり、くちばしでつついたり、周りのものに身体をこすりつけたりします。

これは、ノミやダニが身体についたときに、病原体を媒介させたり肌をかぶれさせる原因となるノミやダニを掻くことで排除するためだと言われています。

だからこそ、今すぐ掻きなさいという命令が脳から出され、さらに掻くと気持ちがいいというようになるようにできています。

痒い部分を掻くと、痒みを伝える神経細胞の活動が低下するために、脳が痒くなくなったという判断をするため、痒い時に掻くと気持ちいいし、一時的ですが痒くなくなります。

少し熱めのお湯を痒い所にかけると、痒みが少し治まるのも、痒みを伝える神経細胞の活動が低下するためと思われます。

実際に、実験的にわざと痒みを引きお起こし、その周辺を掻いてもらって気持ち良くなってもらうという実験が行われていますが、その時にfMRI(磁気共鳴断層画像装置)で脳の活動を調べた結果、報酬を強く感じる中脳や線条体といった脳の部分が反応していることがわかっています。

しかし、実際には痒みのもととなるヒスタミンの分泌が抑えられたわけでもないので、しばらくするとまた痒くなってきてしまうのです。

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